先に学校2〜チルドレン〜を読んでね続編です。

下校〜チルドレン〜

 学生の本職でもある学校が終わり、いつものメンバーで下校していた。

「なあ、ゲーセンに新しいゲームが入荷したんだ!いかないか」

 ケンスケは残りの2バカに銃のゼスチャーをして、新しいゲームのジャンルを教える。

「ほお、面白そうやな」

「そうだね」

「そうなんだよ、1回プレイしたら絶対にハマルよ」

 ケンスケは銃を構え興奮していた。

「そんなにハマルんなら行くかシンジ?」

「うん、行こう」

 2人はうなづき走り出そうとしたが、それを阻止する者がいる。

「ちょっと待ちなさい、寄り道はいけないわ」

 委員長として真面目なヒカリは3人の前に立ちはだかり、行く手を遮る。

「かたいなあ委員長、この歳になって寄り道って」

「イインチョ、わしらにはこれくらいの娯楽しかないんや」

「委員長も行こうよ、面白いよ」

 3人はヒカリを悪の道に引きずるか如く、説得する。

「ダメよ!私は委員長としてクラスメートの風紀を正す必要があるの」

 ヒカリは3人の前からひこうとはしなかった。

「ヒカリー、そんな事言わないで行こうよ」

 アスカが3人の隣りから加わってきた。

「ダメよアスカ」

「たまには息抜きが必要なのよ」

 アスカも銃を使うゲームと知り、行きたかった。敵を倒したときの快感がたまらない、野生の血がうずきはじめていた。

(フフフ、血が騒ぐわ、手が)

「惣流頑張れ」

「張りきっとるやないか」

「ははは、アスカも好きだからね」

「私も行きたい・・・・」

 アスカはあの手この手でヒカリを説得していたが、なかなか折れないついに最終兵器を使う事にした。

 ヒカリを引き寄せ、耳元で呟く。

「ねえヒカリ、ゲームセンターには2人でプレーするゲームもあるのよ。楽しいわよ」

「そっそれがどうしたの?」

「2人、鈴原とできるじゃない」

「なっ何言うのよ!アスカ」

「それにプリクラ、記念になるわねえ」

「・・・・・だっだから」

「最後は占い、ヒカリだったら最高の結果が出るわよ」

「・・・・・・」

「行きましょう」

 アスカは悪魔の羽、尻尾を付け加えたかの如く誘惑する。他も羽、尻尾を付けて応援していた。

「楽しいのよ」

「・・・・まっまあ、委員長として注意するためにも知っておく必要があるわね」

 ニヤリ

 アスカは口元を歪め、小さくガッツポーズ。それを見たケンスケ達は大きくガッツポーズをした。ヒカリは姿勢を整え、咳払いをする。

「委員長としてクラスメートの遊びを確認する必要があるので、今回は一緒に行きます」

「さっすが委員長、話がわかるな。それじゃあ行こうか」

 ケンスケは拳を天高く上げ、ゲームセンターに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゲームセンターに着いた一行は早速新しいゲームの前に向かう。

「これがメチャクチャ面白いんだよ」

「そうか、そんならやるで」

 2人同時でプレイでトウジとケンスケは100円を入れようとするが、アスカが割ってはいる。

「待ちなさい、まずは私がするのよ」

「なんでや?」

「惣流、まずは俺とトウジがプレーするのに割りこみはよくないよ」

 だかアスカは腰に手を当て、一喝する。

「アンタ達、誰のおかげでここに居るとおもってんのよ!私のおかげよ」

 それを言われては、ケンスケ達は言い返せない。

「わかったよ、お先にどうぞ」

「シンジ!するわよ」

「え?僕」

 シンジは自分を指差し、確認する。

「アンタ以外誰がいるのよ。早く100円出しなさい!」

 アスカは手を出し要求するがシンジは不満そうである。

「えー?どうして僕がだすんだよ」

「口答えする気?いい度胸ね」

 指をボキボキと鳴らしてシンジに詰め寄る。

「わ、わかったよ!もう」

「よろしい」

 ブツブツ呟きながら、自分の分と合わせて200円を投入した。

「ようしスタートよ」

 気合を入れ、敵を正確に狙い撃ちしていく。シンジは狙うが当たらずに自分のライフが削られていく。

「下手ね!訓練しているんでしょう」

「そんなこと言ったって・・・」

 アスカはシンジの下手さに呆れていた、とてもエヴァで撃っているとは思えない下手さ。ステージは次々に進んでいくにつれて、敵の攻撃が激しくなっていく。

「シンジ、援護しなさいよ!」

「むっ無理だよ・・・・しまった!・・・あーあ、終わっちゃった」

バカシンジ!

 最終面シンジはゲームオーバーになり、アスカは1人でボス戦を戦ったが攻撃が強烈で、どんどんライフが削られていく。

「しまった!」

 ついにライフは無くなりゲームオーバー、銃を無造作に置き体を震わせ悔しがった。

「このバカシンジ!アンタの下手さに、クリアできなかったじゃないのよ」

「なんで僕のせいなんだよ?」

「下手なおかげで、私のリズムが狂ったのよ」

 シンジの胸倉を掴み、クリアできなかった怒りをぶつける。ヒカリはなんとかおさめようと必死であった。

「何やってんだか、さあトウジやろうか」

「ああ、わしらの力を見せなあかんな」

 2人は100円を用意し、銃を取ろうとした。

「ダメ」

「わっ何するんだよ?綾波」

「わしらの番なんや」

 レイは両方の銃を手に取り、片方をまだ怒りをぶつけられていたシンジに差し出した。

「碇クン、これ」

「何?綾波」

「私と」

「綾波と」

 コクリ

 レイは少し顔を赤らめ、用意した100円を渡す。

「ちょっと待ってくれよ、次は俺とトウジがする番なんだ」

「碇クンとやりたい」

 レイはケンスケに少し潤んだ瞳で次の番を譲るように訴えかけた。そんな瞳で見つめられてはどうする事もできなかった。

「わ、わかったよ」

「ありがとう、碇クンやりましょう」

「うっうん」

「シンジとやっても無駄よ、ド下手なんだから」

 アスカは腕を交差させバツの字を作る。シンジはあまりの言われように、むっとしたが下手に言い返せない。

「大丈夫、碇クンは私が守るわ」

「綾波?」

「絆だから」

 レイは100円を入れて、画面を静かに見つめる。シンジは慌てて100円を投入しスタートする。アスカは後ろで腕を組んで、罵声を飛ばす。

「無理無理、私の記録は抜けないわよ」

 バシュ!バシュ!

 レイは片手で敵を正確に打ち抜いていく、弾のミスは無く少しの動きでクリアしていく。

「しまった!」

「碇クン、危ない」

 レイはシンジのピンチにも素早く対応し、ライフを減らすことは無かった。ケンスケ達はあまりの見事さに関心していたが、負けず嫌いは愚痴っていた。

「面白くないわね、ミスった時のスリルさが全然ないじゃない」

 レイのおかげでシンジは最後のボスまで、ライフは削られる事はなかった。そしてノーミスでクリアをした。

「やったあ」

「碇クンおめでとう」

「綾波のおかげだよ、ありがとう」

 ポッ!

 シンジに微笑みかけられたレイはおもわず顔を赤らめる。

「・・・絆だから」

「凄かったな、綾波が上手なんて。さあトウジやろうぜ」

「よっしゃあ、シンジ達にはまけんで!」

 ケンスケ達はポケットに入れていた100円を投入しようとしたが、また阻まれる。

「待ちなさい!シンジ100円よ」

「え?」

「もう1回、アンタのするのよ」

 アスカは銃を握り締め、手のひらをシンジに差し出す。

「惣流、順番守れよ」

「うるさい!私に逆らう気?」

「ひっ!」

 怒号の迫力、逆らったら命の危機にケンスケ達は後ずさりする。

「シンジ!早く出しなさい」

「はっはい」

 シンジも迫力におもわず財布から200円を出し投入する。

「アスカ、行くわよ!GO!」

 足を肩まで開き、両手で銃を持ち出現した敵を素早く倒していく。

「負けられない!負けられないのよ!」

 ゲームでも熱くなるアスカ、全身からはオーラが漂っている。ケンスケとトウジは呆れていた。

「たかがゲームなのにな」

「そうやな、こんなに熱くなれるなんて単純なやっちゃな」

 ボク!ボク!

「脇役!うるさい」

「「あううう・・・・」」

 アスカは後ろを見ないで、そのまま蹴りを正確に入れる。ケンスケとトウジはその場に崩れ落ちる。

「チッ!ライフが減ったじゃないのよ、アンタ達憶えておきなさいよ!シンジ、ちゃんと狙いなさいよ」

「やってるよ!あっしまった」

 シンジは不意打ちをつかれゲームオーバー、アスカも残りライフは少ない。

「バカシンジ!へたくそ」

「なんだよ、援護してくれなかったじゃないか」

「うるさい!あっ・・・終わったじゃないのよ!」

 呆然とするアスカ、1回目よりも手前で終わってしまった。銃を置くとシンジに詰め寄る。

「アンタが話しかけるから、気が散って失敗したじゃないのよ。このバカシンジ!」

「なんでボクのせいなんだよ?」

 2人は互いににらみ合っていたが、レイがシンジの前に立ちはだかった。

「私と碇クンの絆は誰にも敗れないわ」

「綾波・・・・」

「なっなんですって!ファーストいい度胸してるじゃないのよ。このアスカ様を敵にまわして、生き残った者は1人もいないのよ、屍となりなさい!シンジ100円だしなさい」

 シンジは『どうしてゲームで屍なんだよ』とツッコミたかったが、今の状況で言うと自分が屍になる可能性があるので、喉先まで出かかったがやめた。

「わかったよ、はい」

「シンジもするのよ!」

「・・・・・」

 シンジは無言で自分の分を投入する。このままではお小遣いが無くなってしまうので、なんとか努力して早めに終わらせようと試みた。

「アスカ、GO!」

「惣流、俺達なんだけど・・・」

「うるさい!あっちでUFOキャッチャーでもしてなさい」

 ケンスケは肩を落とし、プレーする事を諦めた。

「はあー・・・・トウジ、レースでもしようか・・・・・?」

 ケンスケは横を見ると居ない。レイがポツンと画面を見ていた。

「あれ?綾波、トウジは」

「・・・・」

 レイは無言で指を差す。その先にはヒカリとプリクラをしているトウジがいた。

「トットウジ・・・・・」

「なんやこれは、なかなか面白いもんやな」

「私もビックリしたわ、カラフルで綺麗ね。次はこの風景ね」

 ヒカリによってトウジは占いやクイズ、などと引っ張りまわされていた。

「ふっ結局は俺1人か・・・・」

 ケンスケは天井を見つめ、背中に哀愁を漂わせた。その間もアスカの白熱したプレーは続く。

「くっもう1回!」

「バカシンジ!」

「あーもう!」

「このへたくそシンジ!」

「あとちょっとなのに・・・」

「負けられないわ!」

「!!!!」

「!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぜえぜえぜえ・・・・どうファースト?これが私の実力よ」

 肩で息をしながら指をレイに突きつける。

「・・・・・無様ね」

なっなにぃ!

「碇クン、帰りましょう」

 横で銃を引きすぎて疲れているシンジの腕を取り、その場を後にしようとする。

「うっうん」

「どういうことよ?」

「お金の使いすぎよ」

 レイの言葉にシンジは肩をガックリ落した。クリアするまで全部シンジのお金を要求され財布の中は空っぽになっていた。

(綾波ぃ・・・はっきり言わないでよ、僕の小遣いが・・・・シクシク)

「ようはクリアすればいいのよ!」

「そう」

 聞き流すとシンジをひき外に出ていった。

「こら待ちなさいよ!」

 アスカは鞄を持つと、まだその場に天井を見ているケンスケを後にした。

「ふふ、空が赤いな・・・・」

「待ちなさーい!」

 そしてチルドレンはトウジ達のことを忘れ自宅に帰っていった。

「ねえ鈴原、このパンダとってよ!」

「これか?しゃあないな、とったるわ」

 ヒカリはすっかり夢中になり、進んで遊びに行こうと言い出すまでになった。


 冷静なレイは1回でクリアしましたが、アスカは熱くなりすぎて何回何十回としていまいシンジのお小遣いがスッカラカンと・・・・・これからどうするんだシンジ?

 お小遣いが無くなってもアスカは出しそうにないですね。レイは優しくシンジの分のお金を、優しい!

 ヒカリは夢中になってはまりましたね。

 ケンスケ、1人で遊ぶほうがいいかな?

 チルドレンの普通?の下校風景、心がなごみます。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION 下校〜チルドレン〜